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波と文学

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世界がじわりとまた広がる音。

覚めかけた夢のあっちから三吾の声が聴こえてきてそれはいつもより少し早い気がした。枕元の携帯電話に手を伸ばし、半分しか開かない目で時間を確認すれば午前5時、良美の向こう側で三吾が泣いている。

良美に声を掛けたのだが、私は低血圧であるがゆえに朝は無理なのだ、何とかしてくれ。と、目を閉じたまま堂々と言いやがる。外はうっすらと明るい、頑固な三吾は泣き続けて、頑固な良美は寝続けて、仕方がない。私が起き上がり三吾を抱き抱えて一階に行き、オムツを代えることが私たち3人に残された道である。眠いけど。

オムツを代えてやると三吾の機嫌は直ったのだが寝るつもりはないらしく、散歩に行こうぜ、という顔をして抱っこをせがんでくる。可愛い。眠いけど。


午前5:45。散歩に出掛ける。
近所の丘のうえにある牛舎へ、牛らもちょうど目覚めの時間らしく私と三吾に気付いて重い身体を揺らしながらこちらにやって来る。三吾にとっては初めての、牛との遭遇。独特の香りと雰囲気の中、ビビるかなと思いきや相変わらずの落ち着きをもって、物怖じせずジッと牛の様子を眺めていた。モォーーーーという鳴き声に包まれて、彼の世界がじわりとまた広がる音が聞こえた気もして。







その後、海辺を歩いて帰宅。寝ている母親のもとに連れて行き乳を飲ませれば寝ると思っていた午前7時、いとも簡単に思惑は外れて。この通り、








今日も三吾は元気である。

今日も世界が平和でありますように。


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