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波と文学

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部屋の窓から海が見える





だいたいいつも、AM6:30から7:00の間に目を覚まして、

二階の小窓から海を眺めて波を確認する、

部屋の窓から海が見えるというところは、この家の一番好きなところ。

サーファーが一人、浮いていた。波は小さく、

コンディションも良くはなかったのだが、綺麗なうねりが連なっていた。

タバコを吸いながらぼんやりと考えて、入ることに決めた。何も考えずに吸う、

朝のそんなタバコが僕は好きだ。





暮らしはいつだって選択の連続で、何かを「選ぶ」ということは、

別の何かを「選ばない」ということ、しかし、「選ばない」というだけで、

別に「捨てる」わけじゃない。それに人生はきっと短い。

あの日、僕が選ばなかった「選択肢」を、今日の僕が選ぶのさ。

それだけのこと。




ようやく人生が楽しくなってきた、近頃、そんなことをよく思う。



とあるドキュメンタリー番組の中で、

空中のカメラが海の中央を泳ぐ亀を捉えて、

ナレーターがその亀のことを「大海原の旅人」と呼んだ。



なんだ、僕らもまるで同じじゃないか、と僕は思った。



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Kissの季節

             

昨日出会った、キスを130匹釣り上げてウハウハしていた爺さんが、
今朝もまた昨日と同じ場所でウハウハしていた。
寝起きに、二階の窓から浜辺の爺さんを見つけた私は、
そのまま外に出て。差し入れの缶コーヒーを買い、爺さんのもとへ。
早い話が、弟子入り志願だ。


聞けば、
師匠はバスの運転手を生業として定年まで東京の街で暮らしていたとのこと。
定年後、故郷であるこの辺の町に帰って来て、
今は好き勝手に暮らしていると言いながらウハウハしていた。
さすがは師匠、身の上話をしながらもキスを次々に釣り上げる、
今日もすでに50匹を越えていた。

 
それにしても、この辺のジジィは皆、
「ここいらで俺のことを知らないやつはいねえ」というようなことを、
誇らしげに語りたがる。
師匠然り、我が家の駐車場の大家であるオータさん然り、皆、
同じようなことを言うのが不思議。


話がさっそく逸脱したのだが、
目出度く弟子入りに成功して。師匠から釣りのイロハを教わる。
仕掛けの作り方から、ポイントの見極め方、
釣った魚の捌き方まで丁寧に、ありがたや。
「ほれ、練習してみれば」と、
渡された竿に餌をつけて投げてみれば、早速釣れた。

なんだ簡単じゃねえかと思った。そして、
御裾わけをいただき、昼にキスの刺身、夜は天麩羅、幸福です。



別れ際に、師匠から電話番号を渡されて。
ウチに遊びに来なさい、と言われた。

「次は、美味しいハンバーグの作り方を教えてあげるから」とのコト。


魚だけじゃないんだぜ、
という師匠からのサイレントメッセージを、僕はしっかりと受け止めました。