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波と文学

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たとえばそれは言葉ではないものの

明日からアムステルダムへ、10日間。去年、パサール満月祭の季節以来の遠出である。外国ともなれば実に14年ぶり。そもそも僕は家が大好きなのに。息子が産まれて半年も経たぬうちに2度も、こうして知らない町に出掛けているのが不思議である。元来、旅行が好きなわけでもピクニックが趣味なわけでもなく近場の公園で良美と休憩したり、たまの買い物デートで丁度よかった。


ふと、思った。

30歳を過ぎて数年が経ち、程よくおじさんに成りかけの凝り固まった肉体や思考回路やビジョンや妄想を、もう1度見直してみろオッサン、と誰かが言っているのかもしれない、たとえばそれは言葉ではないものの三吾の“存在”とか。いや、こんな言うと怒られるかもな、でもそうなのかもしれないし無事に帰ってきたら良美にも、ありがとうと伝えよう。なんてことを、新幹線のなかで。


いってきます。



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これが僕のすべてだ、と言える。





一日の終わりにこの風景がある。
だから、今日も生きていて良かったと思える。


近頃、人生がとてもシンプルになった。
考えなければならないことも、
やらなければならないことも、
そう多くはないことに気付いた。


これが僕のすべてだ、と言える。寄り道積み重ねた楽園。

見えてはいるが、覚えておくことの出来ない初めての雪。



週末が近付くにつれて民衆が「来るらしいよ」「ヤバいらしいよ」「大雪だってよ」と騒ぎ始める様子を尻目に、ふふふ、踊らされてやがる哀れ者ら、かわいい。と思っていればこの景色である。震えている。

去年、最終的には凄まじい台風に襲われて散々な結末に成ったのだがそれ以前の台風への「煽り」が大袈裟だったのをはっきりと覚えていたせいで、~十年に一度とか、体験したことのないとか、未曾有の、とかそういう派手な文句に懐疑心ありありであり、俺そう簡単には信じないよ、と斜に構えてこの景色である。震えている。


昨日から降り続く雪はついに侘しい漁村を覆い尽くした。浜に、荒れた海を眺める外国人の男女がいた。カナダから日本までサーフトリップに来たのだがこれではまるで母国と同じだshit。怒りと諦めと間抜けの狭間で、二人は悶えていた。しかしそれは、ちょうど来週、オランダでリーディング(【ひひひ+暗黒ニラ,オランダツアー】)に飛び入りした僕にとって幸福であり、神様からの贈り物であるというかさては神の化身だな。「これこれ外人」と声を掛けて自宅に連れて帰り翻訳をガッツリと手伝ってもらって見返りに温泉を紹介して、全てがウマくいったthanks a lot.それにしてもこの雪景色、40年ぶりというわりには不思議といつか見たことのある風景ばかりだ。四季豊かな国で暮らす日本人にとって、雪景色が原風景であることに由来するのだろうか。灯油は持つだろうか。昨日からずっと、そわそわしていて落ち着かないの。


三吾にとっては初めての雪。
生後5カ月の彼にとって見えてはいるが、覚えておくことの出来ない初めての雪。
代わりにしっかり覚えておこうと今、思った。





明日は雪が降るってさ




朝、いつも通り三吾の泣き声で目を覚ましたのだが何気なく彼の背中に手を回してみると濡れていた。おや?と思い見てみれば背中なのかウンコなのかわからないくらい背中なのかウンコだった。風呂を沸かし、着替えさせるとオムツからケツが50%ハミ出ていた。

犯人である良美を呼び注意すると「起きたことは仕方がない、切り替えてゆこう」などと、いかにもなコトを言う(お前は試合中の女子バレー部のキャプテンか、と思ったが言うのは我慢して)浮かない顔のまま土曜の朝、親子で風呂で鼻唄。明日は雪が降るってさ



目的地よりも、大切な目的。

友人のliveを観に街まで行ってきた。21時に間に合うようにウエマとハマスと村を出発したのだが、友人と連れ立って夜遊びに行く感じは久しぶりだった。

道中、後部座席に座るハマスが「ストレッチしていいすか?」と言ってシートのうえでストレッチを始めた。わざわざ断りをいれなくてもいいのに、と思ったし、なんのためのストレッチなのだろうと気になり、「どうしたの?」と尋ねると「身体が痛てえっす」とハマスは言った。また海に落ちたらしい。高波にさらわれてマジで死にかけたとも言っていた。漁師、半端ねえな。
そんなことを考えながら、
しりとりしながら目的地を目指した。


会場に着くなり大勢の友人諸君と久しぶりに再会した、みな元気そうだった。近況や目論見について語り合う機会も少しあり、30歳を越えたそれぞれの人生の彩りがじつに艶やかだった。街のスピード、ひとの歩幅、それぞれ奏でる音や包む景色の変化や進化に驚かされて、傍観者の心地でみんなヤってるね~と感心した。はて、俺はどう
か?と同時に問えば割りと調子良く口笛吹けそうな気もして数年前まで延々まとわりついていた焦燥感や使命感のような勝手な妄想が綺麗サッパリ剥がれていることに気付いた。困難と祝福が絶えず訪れるこの短い人生において、喜びよりも悲しみのほうがほんのちょっぴり多いことに気付き、それならばと開き直って惑わされることなく喜びを全身で実感して舌先で転がし続けたい。分厚い防音扉の向こう側から泰尊の叫び声が熱を帯びたままもれてくる。いまその瞬間、目の前に広がる景色を愉しむことこそ旅の途中の醍醐味であり、目的地よりも大切な目的。そんなことを考えた日曜日の夜。それにしても素晴らしいバンドでした、理路整然、歪みや弛みのない完璧なバンド。泰尊、幸せな奴め。