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波と文学

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餃子とコロッケ、ポケットに小銭。

若い頃、落語に出てくる与太郎や太宰の登場人物の異常性に触れてはけけけと笑い自分の暮らしの普通っぷりや自分の個性の安全性に安堵しつつも何処かで微かに憧れたりしたもんだ。そしていつの間にか僕は34歳になり、あろうことか夫になり、恐ろしいことに親父にもなり、もはやほとんどの与太郎や太宰の登場人物は僕よりも年下である。


相変わらず、僕は彼らほど鮮烈に破綻することもなく個性的な無頼の風を吹かせるワケもなく地味に家賃を2ヶ月分滞納したり借りた小金を返せなかったり電力会社の従者に馬鹿野郎、明後日じゃなきゃ払えるわけないだろう!と勝手な悪態をつく程度の小さな欠落者である。頭や心に空いてる穴が小さいだけで底が無いわけではないのである。そこが、長年安堵しているポイントであり希望でありある意味、生涯における僕なりの憂鬱の素であるからこれではいかんと腹をくくり底を切り抜く作業がついに始まった。与太郎や太宰の登場人物に在って、僕に無いもの、それは間違いなく酒である。ビヤである日本酒であるウォッカである焼酎である密造酒である。酩酊であるコトこれに他ならん!コレだ!っつーワケで束の間の一人暮らし、いつしか隅に追いやった快楽主義者の美学と野望を真ん中に持ってきて残り僅かの日々を笑いながら暮らすことに決めた。餃子とコロッケ、ポケットに小銭。
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読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋、退屈の秋、中古車の秋、焼きそばの秋、下り坂の秋、半信半疑の秋、もらい涙の秋、選り取り見取りの秋、剃り残しの秋、鰹節の秋、濡れタオルの秋、猿の秋、小銭の秋、くつしたの秋、肩こりの秋、薬物過剰摂取の秋、燃えるゴミの秋、盲目の秋、子育ての秋、巻きタバコの秋、人間失格の秋、魚市場の秋、与太郎の秋、コスモスの秋、エリック・クラプトンの秋、芸者の秋、紙吹雪の秋、泥沼の秋、奥二重の秋、捻挫の秋、ビー玉の秋、温泉の秋、失恋の秋、ひったくりの秋、正直者の秋、義理の妹の秋、寝たきりの秋、勝新太郎の秋、延滞金の秋、立ちこぎの秋、ソフトSMの秋、周波数の秋、さざ波の秋、老後の秋、二世帯住宅の秋、振り返れば秋、オリコンヒットチャートの秋、琉球の秋、若ハゲの秋、横綱の秋、辺野古の秋、こんにゃくの秋、奴隷の秋、ヨーグルトの秋、古池の秋、ギンガムチェックの秋、大隅半島の秋、ちゃんぽんの秋、マグロの秋、卒業アルバムの秋、エプロンの秋、二等辺三角形の秋、タクシーの秋、殺人事件の秋、二股交際の秋、垂れ目の秋、主語述語の秋、相対性理論の秋、ロシア語の秋、赤信号の秋、含み笑いの秋、経年劣化の秋、土間の秋、地球温暖化の秋、日替わり定食の秋、ハローワークの秋、徳川幕府の秋、タイガーマスクの秋、CIAの秋、PTAの秋、反抗期の秋、残り火の秋、孤独の秋、裸足の秋、キッチンの秋、過払い金の秋など、秋には色々ありますが私にとっては飲酒の秋。飲酒の秋に瓶で飲むビヤー。冬はすぐそこ。

豆屋にて。

豆屋にて、椅子に腰をおろして店主との無駄話に興じていると、たまたま出くわした豆屋の常連女が私の手のひらを見て絶賛。「まあ!両手ともそんな手相なんて珍しい!ヨッ!この行く末大統領がっ!」などと言う。


帰りの車のなかで、僕はてのひらを眺めながら「こんな俺みたいな愚か者の手相でゴメンね。お前がどんなに“行く末大統領”だとしても、俺が無能なら意味がなくてゴメンね。」と呟き、涙を堪えきれずにいると車のまえを闇夜のケモノが横切るからハンドル切って急ブレーキ、マジ焦った。これは手相の復讐に違げえねえっつー話。





【凹】




凹む。という漢字では物足らないほどヘコむ夜。「凹む」の真ん中の陥没がゆっくりと、底辺を貫いて降下する。ついに、いちばん下のぎょうまで辿りつくとき、君の目にも映るはずだ、
この悲しみが!


この寂しさが!


この涙の形が!なんつって喚き、


見上げた夜空、オリオンの群れ。


あまたの、静寂、切り裂いて、


私に、寄り添い、


どこまでも落ちてゆくつらーーーーーーーーつって。




テニスコートの誓い。




【テニスコートの誓い】



間抜けな牛の鳴き声が、


遠くの民家から聞こえてくる。


しかし、誰も気にしない。


自由つったって楽じゃないよ、


不自由な方がマシなことだってあるよ、


野菜は高いままなのです。


揃わない足並み、


思い思いに叫ぶ声、


どこかで誰かが鳴らす鐘のね、


人々は踊る。ゆっくりと、


いまの絶望に、


あしたの希望を塗り重ねてゆく。


銃声よりも間抜けな牛の鳴き声、


怒りよりも、踊る手足。


変化を望み、過ぎてゆく暮らし。


ふらりふらり、


ふわり、ゆらり、ぬらり、くらり、


暮らし、揺らし。