- 2024/11/22
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Live In The Moment. 海辺の出来事、文学の断片、生活の柄について。
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たまに、思うことがある。この美しき地球上で人間が歩きまわる前に我が物顔をしていたのはひょっとすると蟹ではないだろうか。少なくとも、私が住んでいるここいらは、そうに違いない。夜、散歩に出掛けようとして外に出るとサササ、ササ、サッ。数えきれないほどの蟹が身を潜める気配を感じる、サササ。人の居ない時間帯は蟹の時間なのだろう。子供の寝ている時間におもちゃ箱の中のおもちゃが自由に遊んでいる感じ、アレの蟹ヴァージョンサササ。或いは、私たちが一匹の大きな蟹の上で暮らしている、という可能性も夢があって捨てきれないのよね。よねよね、なんつってる今も室内のソファの上を蟹が横歩きしているサササ。
昨日は昼間、鬼の形相で熱さに耐えながらタコ焼きまくり。夜は鹿児島市内でOKI DUBのライヴ。
市内に向かう車内で些細なことから妻と口論になりお互いイライラしながら到着したのだが、
ステージ上、BAND+民族衣装で演奏するOKI氏を観て、
「あ、OKIさんが本気出してる!初めて観た!本気出してるとこ!うわ!すごい!楽しい!」と言ってはしゃぐ妻の横顔が面白かった。夫婦間の不快な感情を一瞬で掻き消してモっていくOKI DUBの素晴らしきサウンドに喝采。強烈な時間。にもかかわらず途中で一瞬、私はなぜか醒めてしまい「このアイヌの末裔は得体の知れない楽器と仲間を引き連れてわざわざ北から南の端までやってきて現代風にアレンジした民族音楽を爆音で奏でて南の土地に暮らす若者や中年を躍らせて忘れさせて心なしかhappyにさせて、難儀なやっちゃでvivaトンコリ!」と、右手のグラスを天高く掲げた。久しぶりに会えた友人諸君とも少ないながらも言葉を交わせて嬉しかった。thanks Hamas.
思えば、ずいぶん遠いところまで来たもんだ。
自分の生まれ育ったこの街が嫌いで仕方なくて誰にも気づかれないように呪うほど嫌悪してようやく18になり中途半端なダサい訛りと人の目と耳を余分に気にして身を屈めて過ごす暮らしにアバヨと手を振り捨てた故郷。大袈裟ではなく、あの日は、そんな気分の春だった。それから遠く、遠く、遠くを指さして歩いて暴れて恋してフラれて泣いて笑って本読んで、ろくに働きもせず吸って吐いて映画観て、愚痴は零さず音楽に揺れて、晴れ晴れと転がって躓いてそのまま眠り、甘い夢を見てまた起き上がり旅を続けて、地球ってのはホントに円いんだねえ、一番遠くを目指したつもりが一周して生まれ育ったあの街の目と鼻の先に侘しくも自分なりの楽園を見出し最愛の恋人と二人で暮らし始めた。平坦は退屈で繰り返しも退屈で田舎は退屈で物語はなにも始まらないと思っていた。全ての若者がそうであるように、いつかの僕も青く、ほとんどの勘違いを真実と信じて疑わず何も、知らなかった。そして今夜、僕はようやく33歳になったゾロ目。相変わらず勘違いしているかもしれない、相変わらずそれらを信じているかもしれない、でも知っている。それでいいことを。
経年進化を楽しめよ少年、繰り返す日々の営みに小さな幸福を見つけて青年。ゾロ目。33、なんか愉快。