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波と文学

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春よ来い、はよ来い。

冷たく強い風の吹くオランダでの幾つかの夜を経て帰国後はすっかり詩を綴ることに火がつき、目が充血しているのだが困ったことにロクに書けやしない。というのも、日常の至るところに幸福が寄り添い、視界のあらゆる場所に花が咲いている状態なのだ。

若い頃から詩に限らず、文章を綴るときは大抵、自分の心の深淵を覗き、底に在る不条理や矛盾や怒り悲しみ悪夢絶望を汲み取り、それを言葉にしてきた。難儀である。

その間に三吾には歯が生えた。


相変わらず激しい夫婦喧嘩、改め夫婦戦争を挟みながらもぼちぼち家族生活を満喫している。

結婚して人の夫となり、子供が産まれて人の親となり、人並みに鮮やかな幸福を齧り、いやあ、人生って捨てたもんじゃないすね、なんてありふれた呑気な顔をして、この社会で暮らしている自分のイマと、10年前の自分のギャップを、たまにフラっと考えてしまう。

大阪の町で乞食を経て、転がりこんだ女にフラれ、最高速度30キロのバイクにまたがり1号線をひたすら、何の当てもなく東京を目指していた10年前の私には野垂れ死にの未来しか用意されていなかっにはずなのだ。それがこれである。

「ひとのlifeはchoiceだよ」と、19歳の頃に、海の見える丘のうえの家に住む年齢不詳のオヤジから言われた言葉はイマも耳の奥のほうで反響している。土砂降りの痛みのなかを傘もささず走っていた気がするが、今はいつだって傘になってやる覚悟である。

つまり、自分の心の深淵を覗き、底に在る不条理や矛盾や怒り悲しみ悪夢絶望を汲み取り、それを言葉にしきたが、これからはこの日常のありあまる幸福も言葉にしなければならない。それが解決法であり、結論とする。春よ来い、はよ来い。







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たとえばそれは言葉ではないものの

明日からアムステルダムへ、10日間。去年、パサール満月祭の季節以来の遠出である。外国ともなれば実に14年ぶり。そもそも僕は家が大好きなのに。息子が産まれて半年も経たぬうちに2度も、こうして知らない町に出掛けているのが不思議である。元来、旅行が好きなわけでもピクニックが趣味なわけでもなく近場の公園で良美と休憩したり、たまの買い物デートで丁度よかった。


ふと、思った。

30歳を過ぎて数年が経ち、程よくおじさんに成りかけの凝り固まった肉体や思考回路やビジョンや妄想を、もう1度見直してみろオッサン、と誰かが言っているのかもしれない、たとえばそれは言葉ではないものの三吾の“存在”とか。いや、こんな言うと怒られるかもな、でもそうなのかもしれないし無事に帰ってきたら良美にも、ありがとうと伝えよう。なんてことを、新幹線のなかで。


いってきます。



これが僕のすべてだ、と言える。





一日の終わりにこの風景がある。
だから、今日も生きていて良かったと思える。


近頃、人生がとてもシンプルになった。
考えなければならないことも、
やらなければならないことも、
そう多くはないことに気付いた。


これが僕のすべてだ、と言える。寄り道積み重ねた楽園。

見えてはいるが、覚えておくことの出来ない初めての雪。



週末が近付くにつれて民衆が「来るらしいよ」「ヤバいらしいよ」「大雪だってよ」と騒ぎ始める様子を尻目に、ふふふ、踊らされてやがる哀れ者ら、かわいい。と思っていればこの景色である。震えている。

去年、最終的には凄まじい台風に襲われて散々な結末に成ったのだがそれ以前の台風への「煽り」が大袈裟だったのをはっきりと覚えていたせいで、~十年に一度とか、体験したことのないとか、未曾有の、とかそういう派手な文句に懐疑心ありありであり、俺そう簡単には信じないよ、と斜に構えてこの景色である。震えている。


昨日から降り続く雪はついに侘しい漁村を覆い尽くした。浜に、荒れた海を眺める外国人の男女がいた。カナダから日本までサーフトリップに来たのだがこれではまるで母国と同じだshit。怒りと諦めと間抜けの狭間で、二人は悶えていた。しかしそれは、ちょうど来週、オランダでリーディング(【ひひひ+暗黒ニラ,オランダツアー】)に飛び入りした僕にとって幸福であり、神様からの贈り物であるというかさては神の化身だな。「これこれ外人」と声を掛けて自宅に連れて帰り翻訳をガッツリと手伝ってもらって見返りに温泉を紹介して、全てがウマくいったthanks a lot.それにしてもこの雪景色、40年ぶりというわりには不思議といつか見たことのある風景ばかりだ。四季豊かな国で暮らす日本人にとって、雪景色が原風景であることに由来するのだろうか。灯油は持つだろうか。昨日からずっと、そわそわしていて落ち着かないの。


三吾にとっては初めての雪。
生後5カ月の彼にとって見えてはいるが、覚えておくことの出来ない初めての雪。
代わりにしっかり覚えておこうと今、思った。





明日は雪が降るってさ




朝、いつも通り三吾の泣き声で目を覚ましたのだが何気なく彼の背中に手を回してみると濡れていた。おや?と思い見てみれば背中なのかウンコなのかわからないくらい背中なのかウンコだった。風呂を沸かし、着替えさせるとオムツからケツが50%ハミ出ていた。

犯人である良美を呼び注意すると「起きたことは仕方がない、切り替えてゆこう」などと、いかにもなコトを言う(お前は試合中の女子バレー部のキャプテンか、と思ったが言うのは我慢して)浮かない顔のまま土曜の朝、親子で風呂で鼻唄。明日は雪が降るってさ