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波と文学

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餃子とコロッケ、ポケットに小銭。

若い頃、落語に出てくる与太郎や太宰の登場人物の異常性に触れてはけけけと笑い自分の暮らしの普通っぷりや自分の個性の安全性に安堵しつつも何処かで微かに憧れたりしたもんだ。そしていつの間にか僕は34歳になり、あろうことか夫になり、恐ろしいことに親父にもなり、もはやほとんどの与太郎や太宰の登場人物は僕よりも年下である。


相変わらず、僕は彼らほど鮮烈に破綻することもなく個性的な無頼の風を吹かせるワケもなく地味に家賃を2ヶ月分滞納したり借りた小金を返せなかったり電力会社の従者に馬鹿野郎、明後日じゃなきゃ払えるわけないだろう!と勝手な悪態をつく程度の小さな欠落者である。頭や心に空いてる穴が小さいだけで底が無いわけではないのである。そこが、長年安堵しているポイントであり希望でありある意味、生涯における僕なりの憂鬱の素であるからこれではいかんと腹をくくり底を切り抜く作業がついに始まった。与太郎や太宰の登場人物に在って、僕に無いもの、それは間違いなく酒である。ビヤである日本酒であるウォッカである焼酎である密造酒である。酩酊であるコトこれに他ならん!コレだ!っつーワケで束の間の一人暮らし、いつしか隅に追いやった快楽主義者の美学と野望を真ん中に持ってきて残り僅かの日々を笑いながら暮らすことに決めた。餃子とコロッケ、ポケットに小銭。
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豆屋にて。

豆屋にて、椅子に腰をおろして店主との無駄話に興じていると、たまたま出くわした豆屋の常連女が私の手のひらを見て絶賛。「まあ!両手ともそんな手相なんて珍しい!ヨッ!この行く末大統領がっ!」などと言う。


帰りの車のなかで、僕はてのひらを眺めながら「こんな俺みたいな愚か者の手相でゴメンね。お前がどんなに“行く末大統領”だとしても、俺が無能なら意味がなくてゴメンね。」と呟き、涙を堪えきれずにいると車のまえを闇夜のケモノが横切るからハンドル切って急ブレーキ、マジ焦った。これは手相の復讐に違げえねえっつー話。

BLUE MOON ORCHESTRA





 


えー、LIVE前である。

18日、あおいちゃん主催の【BLUE MOON ORCHESTRA】@ Bar MOJO,

言わずと知れた京都の鍵盤娘、ナカムラカホの歌声、指先、踊る享楽の夕べ。
今回、そのイベントに暗黒ニラとDj sugurus、それと私、山下冗談の3人組で出演する。

カホちゃんの才能と、あおいちゃんの情熱に感化されたのか、この度、
我々も地の底で(鹿児島のミュージックシーンの外側で、大外で、だいたい冥王星の位置で、)何かがどばどば溢れ続けている。当日が、楽しみで仕方ない。いつも、にやにやしているよ。


ベンチシートの3人。

1370キロを経て浜松にいる妻と息子に久し振りの再会、それまでの思い出つらつら。6日間寝泊まりした島根から南下、最後に波乗りした日本海の荒れた海面。岡山で世話になった家族のご主人の本名はシマダシゲルなので皆、彼を呼ぶときにはシマちゃんや、シゲちゃんと言っていたのだが、どういう因果か僕は彼のことを三日間“キヨちゃん”と思い込み、そう呼び続けており、お別れの時に「キヨちゃんじゃないよ」と本人に言われて気まずい思い。倉敷では、小久保淳平くんの粋な計らいで彼のライヴにてポエトリーでセッションさせてもらった。香川は高松にて旧友とボケまくりの一夜を過ごす、涼しげに笑い転げて朝が来て。たこ焼きを食べ比べるためだけに寄り道した大阪でアジア系観光客の多さに驚き、10年前とは完全なる別世界が広がっていて。チアフルのまことさんと大悟とは終始3人で大笑いのドライブ。アイツの恋の行く末に祈るささやかな幸せの結末、そして夏が過ぎて、車窓を、移ろう景色と夜風が溜め息を連れてきて秋。

日本海のほとり、パサールにて01

目を覚ませばいつも通り海が広がっていて安心するのだがそれは東シナ海ではなく日本海だからいつもとは何か違う。一昨日の朝から、僕はチアフルのまことさんと、その丁稚のダイゴと3人で島根県のパサール満月海岸というところにいて多くのヒッピーに混ざり人の唄を聴いたり、物を売ったり、波乗りしたりしている。緩やかに過ぎていく時間の中でまことさんは相変わらず下ネタばかり言い、ダイゴはくすくすと笑い、僕も負けじとああだこおだ意味が無かったり在ったりすることを言っている。昨夜は東京から来ている眼鏡を掛けた女と、どこから来たのかはわからない罠猟の資格を持つ女と、平和系という名前の面白い男と、僕ら3人で、魚や野菜や肉を焼きながら「サイケデリック」をテーマにアレコレ問答していると深夜の3時が過ぎており、おやすみなさいと言って居なくなった罠猟の女と入れ違いでコメさんという初老の岡山ヒッピーがやって来て「昔はサイケデリック♪今は自然デリック♪」などと訳のわからない唄を唐突に歌い出す始末。「星や、月が行き先を教えてくれる。」「意味がないとわかりきっていることをあたかも意味があるかのように話すから愉しい。」「何度も失敗を繰り返し、サイケデリックに近付いてゆく。そう、それがスーパーサイケ人なのだ。」「鳥山明は高校の同級生でした」などと、名言と迷言 の連発に腹を抱えて笑っていると午前5時。僕は終始、フットボールで云うところのボランチのポジションで皆に話題を振ったり、トークペースに強弱をつけたり、時より強引なシュートを自ら決めにイッタ平和系くんに「ステージに居るときよりも、好きっすね」と言って、テントに戻り2秒で寝た。相当愉快な夜だった。日本海は、無表情に、テントの裾を夜風で揺らしていた。